花組「邪馬台国の風」
- 2017/07/16(Sun) -
原作ものの方が知名度があるぶん手っ取り早く集客できるし、土台ができてるから致命的な破綻も無い(植爺のベルばらはひどいもんだが)。
そういうメリットは承知の上でも、スターシステムを採用する宝塚たるもの、その組そのスターに宛書きされた新作オリジナルを上演する劇団であってほしいと常々思っています。

なので、とても期待して観劇しました、「邪馬台国の風」。
物語もビジュアルも、当然ながらこの舞台で初めて創られたもの。
吉と出るか凶と出るか、期待と不安が入り交じった気持ちで観劇するわくわく感って、やっぱり楽しい。

さて、今作における中村暁先生最大の功績は、時代考証に囚われない自由なビジュアルイメージを創造してくれたことです。
ぶっちゃけた話、貫頭衣とみずらじゃなくて良かった…!!古代っぽさを取り入れつつも美しい衣装がとても良かったです。

物語の方は、暗転だらけのぶつ切り場面の羅列という演出の平板さ以前に、根本的に物語の重点をどこに置くかが間違ってる。
二番手のキキちゃんを狗奴国の将とし、さらにその王として専科のマギーさんという布陣でくるなら、物語のクライマックスは邪馬台国対狗奴国の最終決戦でなければならない。盟神探湯じゃないんだよ。
そもそもタケヒコ、神意ではなく自力で盟神探湯を切り抜けてるから、奇跡だー♪と歌い踊る人たちはみんな騙されてるわけで。
喝采の中央にいるタケヒコが完全なドヤ顔ではなく若干困惑した微笑を浮かべてるのは、そういう心苦しさもあるのだろうと思う。

あと、「狗奴国が攻めて来る」というヒミコが受けた神の言葉の裏付けを取れたらヒミコを処刑から救うことができる。
そう考えてタケヒコたちは少人数で狗奴国の陣を偵察に行き、タケヒコ以外全滅という悲惨な結果に終わるわけですが、頭の固い連合国の王達を動かしたのは何よりも日食という超常現象だった…これではフルドリたちは無駄死にではないか(涙)。

命果てた仲間達が魂となり傷ついたタケヒコを励ます場面はいいし、タケヒコとクコチヒコの一騎打ちの場面もちゃんと入ってるにもかかわらず、最終決戦の前の前哨戦として描いてしまったせいで、盛り上がりを欠いたまま終わってしまったのが惜しい。

これが例えば、ヒミコの予言を信じようとしない王様たちがうだうだやってる間に狗奴国の大軍が攻めてきて、圧倒的に不利な状況で逃げ出す者も多い中、タケヒコ達はヒミコを守って奮戦。
仲間が次々と倒されてもはやこれまで、という時に日食が起きて形勢逆転という展開に持っていけば良かったのになぁと思う。
そうすればタケヒコとクコチヒコの対決がクライマックスになるし、フルドリたちの死も報われる。

タケヒコとヒミコが静かに語り合うラストシーンで、あえて描かないのも一つの美学かと思いつつ、しかし結局何がどうなったのかよくわからない間に終わってしまったもやもや感をぬぐえないのでした。

しかし穴だらけの脚本に目をつぶって、一種の祝祭劇として観れば楽しく観られました。
娘役さんの歌と舞いから始まる豊作を祝う群舞なんか、まさにそんな感じ。男役さんの棒術と踊りも力強くて迫力あったし。
音楽も民俗的というか、体の底の古い血に訴えかけてくる感じがして好きだし。
かつての贔屓の退団公演がベルばらだったという苦行(しかも1本ものなのでショーという救いもない)に耐えた身としては、もう余裕余裕で楽しめた公演でした。

さて今日は松竹座夜の部です。仁左衛門さんの『盟三五大切』が楽しみです。
歌舞伎NEXT『 阿弖流為』のブルーレイも出るそうで嬉しいなぁ。
http://www.kabuki-bito.jp/news/4184


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